「3Dプリンタとデジタルファブリケーション(キャンパス編)」で学ぶ近未来の物づくり

  1. 講座の概要

慶應義塾大学環境情報学部の田中浩也准教授によるデジタルファブリケーションの講座の第2段としてgaccoにて開講されたのが、「3Dプリンタとデジタルファブリケーション(キャンパス編)」である。第1段としては、2015年2月に開講した「3Dプリンタとデジタルファブリケーション」があり、3Dプリンタを中心にその技術やデータ、ファブラボの現状と未来のファブリーケーションについて学んだ。第2段の今回は、3Dプリンタだけではなくペーパーカッター、レーザーカッター、CNCミリングマシン、デジタル刺繍ミシンなどの実用例を学ぶことができた。また電子工作の実例や様々な技術の組み合わせについて、実際のファブラボでの事例を知ることができた。

  1. MOOC時代の「半学半教」の精神

この講座は、慶應義塾に古くから伝わる「半学半教」の精神にのっとり、湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生を通して学ぶスタイルである。「半学半教」とは、「教える者と学ぶ者の分を定めず、相互に教え合い学び合う仕組み」(注1)のこと。まさしく、田中先生→研究室の学生の皆さん→大勢のgacco受講者→田中先生という学びの連鎖が始まったといってよいだろう。
考えてみれば、インターネットを利用したオンライン講座こそ「半学半教」の精神を簡単に実現できる手段である。教職ではないものが講師となって他の人に教える様は、まさに「半学半教」の実践だといえる。

  1. 経済や消費の歴史的変化

経済成長がはじまる契機となった18世紀後半の産業革命以降、とりわけ工業製品は大量生産を前提としてきた。まさしく大量生産・大量消費により、品質のよいものが安く手に入る時代である。我が国では、1950年代半ばから1960年代の高度経済成長期にもっとも顕著であった。

経済が成熟しモノがあふれるようになると、少量・多種の消費を志向するようになる。そのもっとも極端な例がデジタルファブリケーションではないだろうか。自分のためだけに作る1点ものの物づくり、あるいは地球上の遠く離れた場所での物づくりの共用などは、デジタルファブリケーションにしかなしえないことである。先進国を中心にデジタルファブリケーションが広まりつつある背景には、大量生産・大量消費へのアンチテーゼがあるのかもしれない。

  1. 学習課題について

4週間にわたって、毎週レポートが課せられた。物の寸法を測って図にしたり、物を分解して図にしたり、電化製品の認証マークを調べたりするものであった。最終レポートは「未来の工作機械の提案書をつくる」ことをテーマに、物を作るための道具を創造してそれを使った人々の生活がどう変化するかをまとめるものだ。単に工作機械の仕組みや実現性を問うのではなく、発想力や提案力を問うものといってよい。いわば、答えのないものに自分なりの解答を与えていくプロセスだといえる。

  1. 20年後の未来企画: 服を手軽に作る「洋服マニファクチャー」

私の事例では、「洋服マニファクチャー」を提案した。

3Dプリンタを使って、洋服を作るための工作機械を作る。名付けて「洋服マニファクチャー」。3Dスキャナーで身体のサイズを測って、この機械を使って洋服を作る。素材は繊維に縛られることもなく、色も自由自在。デジタル刺繍ミシンを使えば、オリジナルのエンブレムを入れることもできる。もちろん、自身にフィットした世界で一点ものである。休みの日に1週間分の洋服を作ることを想像したら、いまの生活より豊かになるのではないだろうか。

さらに、不要になった洋服は素材に戻すことができれば、リサイクルになる。究極には洗濯をせずに、作り直すことも可能だろう。

MOOC学習記 飯塚さん

©dora

  1. 近未来は個性化の時代

MOOCなどのオンライン学習は、知の個性を伸ばすものである。換言すれば、内面の個性化の進展だといえる。一方で、洋服の選択は身の個性を他に示すものである。同様に換言すれば、外見の個性化の進展だといえる。人が社会生活を営むうえで、どちらも他の人に影響を及ぼす個性であることに違いはない。だとするならば、デジタルファブリケーションを通して外見の個性化が進むことは歓迎されることになる。したがって、知の個性と身の個性は、車の両輪のような関係であるといえる。

このように考えると、近未来は「自己を意識した個性化の時代」になるのではないだろうか。その場合には、物質的な面と精神的な面がバランスよく調和していることが、お洒落でかっこよい条件になるはずである。

 


 

注1) 出展:慶應義塾大学[慶應義塾豆百科] No.16 半学半教

http://www.keio.ac.jp/ja/contents/mamehyakka/16.html

 

写真・イラスト 出展:

素材工場 http://sozaikoujou.com/

MUTOH  http://www.mutoheng.com/


 

(Written by Dora)

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